FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

気持ちにまっすぐ新卒農家PROJECT

大学まで学んだ教育への道から一転“新卒農家”に。
祖父母の知恵を受け継ぎ、自分なりの野菜づくりを確立したい。

新卒農家 入澤亮輔さん

27 Wed. December, 2023 KEYWORD
  • 農業
  • あそび・趣味
入澤亮輔

新卒農家 西都歴8ヶ月

福岡の大学で教育を学んだのち、農業への想いがあふれだし2023年に西都市で農家デビュー。自分の意志を大切に、農家として野菜づくりにこだわりながら、西都市民としてまちの盛り上げに邁進している。

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27 Wed. December, 2023

 大学を卒業した今年4月、驚く周囲を尻目に突然農家になってから、半年と少し。西都の地で長年農家を営んできた祖父母の指導のもと、きゅうりやズッキーニ、スイートコーン、お米などさまざまな農作物に挑戦してきた入澤さん。デビュー1年目の感想を伺うと「農家なら誰もが経験することなんだと思いますが、やっぱり思うようにいかないことがいろいろあります」と素直にこぼします。病気が流行すればもちろん、きゅうりは少し曲がってしまうだけで価値が下がってしまうし、大雨や強風による生育への影響や、ちょっとしたことでついてしまう傷も馬鹿にならない。「肉体的なきつさとかよりも、長い時間かけて作ってきたものが売れなくなってしまうのが大変だなと思います」

研究室での経験と、祖父母からの一報

 生まれは西都市で、小学校の時に鹿児島へ。中学校のときの職場体験を機に教職を志し、福岡の教育系大学に進学。教育と農学を結びつける研究室を選択したのは、純粋に「自然が好きだし、本を読むより外で体を動かして研究にまとめていくほうが向いていると思ったから」。小学校などに赴いて作物の栽培を教えるうち、畑の楽しさに気づいたそうです。でも、その頃の夢はやはり先生になること。いつか宮崎や鹿児島の自然の豊かな場所で教鞭をとりたいと思っていたといいます。

 そんな折、入澤さんを農家へと大きく近づけることになる一報が。祖母が腰を痛めたので、今後は農業の規模を縮小し、ハウスも貸し出していきたい──。そう聞いたとき、言いようのない寂しさが込み上げたそうです。「昔から帰省の度によくこの場所に遊びに来て手伝ったりもしていたし、おじいちゃんも結構元気なので、いい場所があるのにもったいないなって」

今やりたいと思うことをやろう

 子どもの頃から山に入るだけでワクワクしてしまう性格で、鹿児島へ引っ越しても、遊び場は山と川。ゲームよりも野遊びのほうがずっと楽しかった。教職に就くと転勤があることもあり、自然の中での暮らしからは遠ざかってしまうかもしれない。とはいえ、これまで学んできたことを捨ててまで進むべき道が、果たして農業なのだろうか。まずは教員になって、どうしてもやりたいと思ってからでも遅くないのでは? いや、祖父のノウハウを学べるのは今しかない。免許制度である教員こそ、いつだってなれるんじゃないか。
 就活に活気づく周囲のなか、そんな問答を重ねて出した答えは「今やりたいことをやる」。説明は難しいけれど、今やるべきことは農業なのだという感覚がありました。「それに、田舎が好きだったり、西都市に帰りたいと思っていたりしたこと、いろいろがつながって。挑戦したい、今やりたいって気持ちが強くあったんです」

もっともっと活発なまちへ

 2023年度から新たに始まった、一般の方の有志によってつくられる“まちづくりサークル”、SAITO BASE。入澤さんもこのプロジェクトに参加するメンバーとして、来年2月頃にあるイベントの準備を進めています。SAITO BASEではまち全体を盛り上げる企画を広く募っており、入澤さんも無人販売所の設置や、品質は同じでも形やサイズの規格に当てはまらず流通できない「規格外野菜」を販売する企画などを考案しました。こうした開かれた話し合いの場、出会いの場があることで、移住者としてもまちに馴染みやすかったと話します。
 「ずっと県外で暮らしてきたので、親族以外の知り合いが少なくて。近所の方と農業の話をする機会はあるので、まちの中心で活動している若い方たちとも話したり、西都市のことをもっと知っていきたいと思い参加しました。まちを盛り上げる一員になれたら嬉しいですね。新しく来た僕のような人間を快く受け入れてくれて、フランクであたたかいまちだと思います」

 SAITO BASEでの活動のほか、消防団や地域の行事からふとした景色まで、日々の暮らしをSNSで積極的に発信している入澤さん。祖父母が長く暮らしてきた場所ということもあって、まちの活性化や若年層への訴求はとくに気になっているトピックだそう。今後について伺うと、野菜作りにおいては自分なりのやり方を確立し、地域の課題にも向き合っていきたいと話してくれました。
 「この数年はおじいちゃんのやり方を学ぶ期間。まずはどんどん吸収して、それから自分なりの考え方で野菜を作ってみたいですね。ゆくゆくはブランドとかもやってみたい。でも農業だけに限らず、まちの活動にも参加しながら発信して、若い人たちを増やしていけるといいなと思っています」