勉強熱心で、仕事にプライベートに、奥さんや仲間たちを大切にしながら、好きなことに情熱を注ぐ「ハマるとハマってしまうタイプ」の吉田さん。そんな彼が今、とくに力を入れて探求している農法が、篤農家で日本有機農業普及協会理事の小祝政明さんが提唱する「BLOF理論」(※Bio Logical Farming/生態系調和型農業理論)というもの。これは科学的・論理的に営農していく有機栽培技術で、全国的に採用する農家が増えている、吉田さんいわく「世界でも注目されている技術」なんだといいます。
「僕は昔から小祝さんの本を読んでいてファンだったので、たまたま講演会に参加できたときはうれしかったですね。2019年には国連総会のカンファレンスでSDGs関連への貢献で表彰されるなど、有機栽培のジャンルにおいてものすごい実績を残している方です。BLOF理論の導入によって、畑の水はけの改善や、微生物の多様化、病原菌の減少などが期待できます」
支援の体制はより充実してきている
就農を検討する方がハードルを高く感じる側面のひとつに、設備投資における資金面での不安があげられます。吉田さんのケースでは、最初の数年間は国の制度である『青年就農給付金』(現・農業次世代人材投資資金)を活用し、トラクターや草刈り機など、最低限必要な農耕具を揃える資金としたそうです。
「農家にとって初年度から収益を残すのはすごく難しいので、とても助けられましたね。この申請の際に協力してくれたのが『児湯農業改良普及センター』や市役所の方たち。普及センターの方には(心が)熱い人がいて、この病気は何だかわかりますかと問い合わせたら、すぐ調査に来て土を持って帰り、顕微鏡で調べてくれたんです」
こういった方たちの存在が、吉田さんのような独立農家にとっては心強い存在でした。国の制度以外にも、市では来年度から『ハウス団地』という、研修農場としてのハウスを貸し出す仕組みがスタート予定。支援の体制は数年前よりも整ってきているようです。
「JAや市役所にも支援体制が整い、職員さんの経験値もあがってきていると感じます。熱心な方が多い。僕が西都に来たときよりに確実に充実してきていますし、何より最初の農地探しに困らないということは、すごく大きいことです。うらやましいですね」
まずはなによりも知識をつけ、技術を磨くこと
そのいっぽうで、意識しておいてほしいこともある、と付け加えます。
「就農を検討している方に気をつけてほしいのが、災害や台風によって、最初に水に浸かってしまう場所がある、ということ。農地選びはあまり焦らず、じっくり検討した方がいいと思います。空いているところほど、気をつけるべき。何も作っていないということは、それなりに理由があります。こういった情報は、地元の人たちから教えてもらうのが一番です」
「新規就農者の3割は、生活が安定しないことから5年以内に離農する、というデータもあって。売上が上がらない原因のひとつには、技術不足があると思います。また残念なことに、農家の知識不足につけこむ悪徳業者もいます。技術を磨くには、勉強するしかない。最初はとことん勉強して実践し、改善を繰り返して技術を磨いた方がいいですよ」
40歳で趣味や余暇の時間をたくさん取れるように、まずは事業を軌道に乗せることが目の前の課題だという吉田さん。うまく軌道に乗れば、BLOF理論を用いてニンニク、人参、唐辛子など、多品目の野菜を作ってみたいと、今後の目標を教えてくれました。
「辛いものが大好きで、ペペロンチーノが最初に覚えたパスタなんです。紫蘇やバジル、トマトもいいなと思っています。キュウリだけにこだわっているわけじゃない。これまでお世話になった人や家族に、自分の作った健康的な野菜を食べてもらいたいですね」
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