リモートワークで都内のIT企業に勤めながら、今年、西都市に移住してきた垣内隆志さん。取材時は、移住後約4ヶ月が経った頃。住み始めた感想を伺うと「想像以上に良いですよ。不便さを感じたことはありません」と、明瞭な答えが返ってきました。暮らし始めてまず驚いたのが、まちに住む人たちのおおらかな空気感と、オープンな市民性だったといいます。
「たまたまこっちに来たときがキャンペーンの期間だったみたいで、道路に『みんなであいさつしましょう』という立て看板が出ていたんです。都会じゃ絶対見ないから、これはすごいぞって。お年寄りから子どもたちまで、みんな挨拶してくれます。都萬神社の横の公園でパソコンを開いて作業していると、子どもたちに『なにしてるの?』って興味津津で声をかけられるんですよ。すごくないですか? これはやっぱり、常日頃から大人を脅威に感じたことが少ないからじゃないでしょうか。もともと住んでらっしゃる方も、移住してこられた方にも秩序があるから、こうした雰囲気が作られているんだろうなと思います」
新鮮な食材が料理の幅を広げてくれた
ご自身に起きた移住後の思わぬ変化が、趣味の料理にいっそう火がついたこと。YouTubeで本格的なレシピ動画を参考にしたり、レストランで美味しい食事に出会えば、シェフに食材や調理法を訊いて真似してみたりと、もともと熱心に取り組んできた垣内さんですが、移住後はその熱が加速。新鮮な食材が安く手に入ることがその理由なのだといいます。
「スーパーは何軒もあるし、売っている作物は基本的に西都市や近隣で採れたものが多いです。ここから都心へ出荷されると、数日経つわけですからね。新鮮で良い品が安く買えるのは、料理が趣味の僕にとってはなによりも嬉しいこと。ピーマン、ゴーヤ、キュウリ、ズッキーニなどの野菜はいつでも新鮮なものが手に入りますし、お肉にしても、近場のスーパーでほとんどの部位が見つけられます。デパ地下でも買えないような食材も手に入るんですよ」
料理の話題となるととくに饒舌な垣内さん。これまで、ちょっと手に入りづらい食材を使う料理には二の足を踏みがちでしたが、今は新しい料理にも挑戦しやすい、と続けます。
「イタリアンが好きなんですけど、生のハーブ類が手に入るのはとても重宝していますね。あと、西都市のカラーピーマンには『こんなに安く買えるのか!』とかなり衝撃を受けました。チンジャオロースをちゃんと作りたいとき、カラーピーマンがちょっと高いと躊躇しちゃうことがあったんです。それがこっちだと、ひと袋100円くらいですよ。産直の販売所に行くと、緑色や赤色のカラーピーマンを混ぜてくれている農家さんもあったりして、ほんとに素晴らしいなって思いました。お米も西都市で採れたものを使っていますし、玄米も食べるようになりましたね」
訪れて雰囲気を掴むことが移住の第一歩
「移住」と聞くと「さまざまな都市を何年もかけて比較する」といったイメージがありますが、垣内さんはふとしたきっかけで宮崎へ観光に来られ、そこで感じたまちの雰囲気に惹かれて移住することを決断しました。そんな垣内さんに、今移住を悩んでいる方にアドバイスを求めてみたところ、「まずは一度その土地へ行ってみることが大事」と一言。
「移住したことを友達に伝えると『遊びに行きたい!』とよく言われて案内しますが、みんな気に入って帰ります。とくにお子さんがスポーツをしてらっしゃる親御さんにとっては、めちゃくちゃ良い環境みたいですね」
キャリアを続けながらも、自身の心の充実にもしっかり向き合う暮らし。コロナ禍で公園や緑の多い場所へ転居する人が増えているといいますが、垣内さんの移住のケースは、その延長線上にあるものといってもいいかもしれません。最後に、これからの夢を伺いました。
「都心に居たときにはできなかったゴルフを再開したいですね。もっと大きなことでいうと、家を買いたくて。利便性を考えると、今住んでいる都萬神社周辺で見つかるといいなと思っています。春には決めたいですね」
西都市を一言で表すとしたら?
移住者には絶妙なバランスのまち。