ツアー参加者:関西在住・3人のお子様のいるOさんご家族
ご主人の祖母が(宮崎県)串間市に住んでいたご縁もあり、宮崎県が移住先の候補。農業はお二人とも未経験。移住するとしたら農業をはじめたいと決めており、就農サポートが充実している西都市を訪問先として選んでくださいました。
事前にオンラインで、新規就農した先輩移住者や市役所の担当者と、西都市での生活や就農についてお話しした後、お試し滞在助成金を利用して、2泊3日で、農業体験や市内の施設などを見学するツアーに参加されました。
1日目
16時30分~
西都市役所にて、農林課の担当者から農業体験の日程や内容、新規就農者への補助金や研修などの就農サポートについてご説明しました。就農のサポートとして、生活費などの支援のための補助金はありますが、補助金の支給が12月ごろになるので、それまでの生活費などの準備はしておく必要があることなどもお伝えしました。
Oさんご夫婦からは、JAトレーニングセンターや新規就農者のためのハウス団地の仕組み、キュウリやピーマンといった品目ごとの特徴、夫婦で農業することのメリットとデメリットなどについて質問がありました。 その後、ご夫婦が農業体験や施設見学をされている間に子どもたちが利用する一時預かり保育の利用手続きや、お試し滞在助成金の申請方法や必要な書類についてもご説明しました。
17時15分
市役所にて解散。お試し滞在中は市内の温泉付きの宿泊施設にご宿泊。
2日目
8時30分
市役所駐車場に集合。
8時40分
まずは、子どもたちを市内の保育園に送ります。こちらの保育園には放課後児童クラブもあります。Oさんご夫婦は、保育園児たちがとても元気でのびのびしていることに驚いていらっしゃいました。
9時15分~11時15分
三納地区にあるキュウリ農家の菊知さんのハウスへ。キュウリ生産量日本一になったこともあるくらいキュウリの生産が盛んな宮崎県。西都市も有数の生産地です。
就農希望の方を受け入れ、指導されている菊知さん。現在は、宮崎市から通って研修されている方がいらっしゃいます。
まずは、ハウスの構造、温度や湿度などを自動制御する装置などについて説明してくださいました。Oさんご夫婦はハウスの頑丈さに驚かれていました。
農業体験は、菊知さんの奥様が丁寧に教えてくださいました。
キュウリは収穫時期になると毎日収獲するので、年末年始のお休みもないそうです。しかし、8~9月はゆっくり過ごせるとのこと。菊知さんは「1反(10アール)作れば生活はできますよ。夫婦でした方が良いと思います」とおっしゃっていました。
11時30分
昼食時間まで少し時間があったので西都原古墳群へ。秋晴れの中、心地よい風に吹かれながら散策。コスモスの美しさにOさんご夫婦は感激され、「子どもたちにも見せてあげたいので明日また来ます!」とおっしゃっていました。
12時15分
昼食は奥さんの「チキン南蛮が食べたい」とのご要望にお応えして、市内の飲食店にご案内しました。チキン南蛮を一口食べて「おいし~い!!」と満面の笑みのお二人。
「今住んでいるところにはチェーン店が多いですが、西都市は個人経営のお店が多いのでいろんな味が楽しめそうですね」とおっしゃっていました。
13時30分~15時30分
午後は穂北地区にあるピーマン農家の壹岐さんのハウスへ。
西都市では1964年にピーマン栽培を開始し、かつては市町村別販売額の日本一に輝いたこともある、日本でも有数のピーマン生産地です。これまで培ったピーマン栽培のノウハウを生かして、中型カラーピーマンの生産にも力を入れています。
毎年、就農希望の方を受け入れ、指導されている壹岐さん。今年も福岡県から移住されたご夫婦が壹岐さんのもとで研修されています。
「西都市の農家は互いに教え合って、それぞれがいいところを取り入れて作っています。とても農業をしやすい土地だと思いますよ」と壹岐さん。
壹岐さんは、ご自宅周辺に多くのハウスを所有されています。その中のいくつかを案内してくださいました。
カラーピーマンは、はじめは緑色で、やがて「赤」「オレンジ」「黄」の3色に色づきます。
ピーマンの収穫体験もさせていただきました。壹岐さんが収穫方法について丁寧に教えてくださいました。28グラム以上のものを収穫し、収穫後は他のピーマンを傷つけないようにヘタをきれいに切り取ります。
収穫体験後は、農業研修中である先輩移住者のご夫婦からもお話を伺いました。こちらのご夫婦は、来年からJAトレーニングセンターで営農されます。Oさんご夫婦が収入面の不安について話されると、「必要な生活費を計算して、細かくシュミレーションすることが大切」とアドバイスされていました。子育て環境や生活環境については、「ママ友がいろいろと親切に教えてくれます。西都市は医療費の助成もあって、子育てもしやすいですよ。自動車が不可欠ですが、私もペーパードライバーでしたけど、道が広くて運転しやすいので大丈夫です」と話してくださいました。
Oさんご夫婦は、先輩移住者とお話しすることができ、いろいろと参考になったご様子でした。
15時40分~16時10分
JA西都の八代さんに案内していただき、JA西都ピーマン集出荷場を見学しました。この集出荷場から出荷するグリーンピーマンは年間約4500トンです。この集出荷場では、選別から箱詰めまで、全て自動で行われます。
16時20分~16時40分
子どもたちのお迎えまで少し時間がありましたので、市内の不動産屋へ。Oさんご夫婦は一軒家の賃貸住宅を希望されているということで、物件をいくつか紹介していただきました。場所や築年数によっても差がありますが、一例を挙げると、「小学校に近く、オール電化で築年数の浅い一軒家、駐車場2台分込みで6万円」という物件もあるそうです。
移住者の中には、まずは市営住宅に住み、西都市での生活にある程度慣れてから、職場や学校のことを考えて引っ越しをされる方も多いそうです。
17時
保育園に子どもたちをお迎えに。子どもの着替えを購入したいということで、衣料品店までご案内し、解散。
3日目
8時30分
市役所駐車場に集合。
8時40分
まずは、前日と同じく、子どもたちを市内の保育園に送ります。
9時~11時40分
三納地区にあるJAトレーニングセンターへ。このトレーニングセンターは新規就農者のための施設で、最長2年間利用可能です。農業に必要な施設(ハウスなど)や機械(軽トラックやトラクターなどの農機具)がすべてリース料の中に含まれているので初期投資を抑えられる上、JA西都の指導員から技術指導を受けながら営農することができます。
こちらでは現在4組の新規就農者が営農しています。その中のお一人、織田さんが案内してくださいました。「指導員が毎日来てアドバイスしてくれるので、とても心強い」と織田さん。 織田さんは1年間、農家での研修や座学研修を受けられましたが、1年間で全てを学ぶことは大変難しいと感じたそうです。「サポートを受けながら営農できるトレーニングセンターは絶対に活用すべき。農家で1年間学び、トレーニングセンターで2年間営農し、その後、新規就農者のためのハウス団地で営農するのが理想的なルート」と織田さん。
続いてトレーニングセンターのハウスを案内してくださいました。
まずは、営農2年目となる方のハウスを見学。その後、織田さんのハウスへ。
枝の誘引と摘芯作業を体験させていただきました。織田さんご兄弟が付きっきりで教えてくださいました。
作業後、先輩移住者でもある織田さんに西都市での生活について伺いました。
Oさんご夫婦が「移住して生活になじめるのか心配。前の生活が恋しくなるのでは・・・との不安があります」と話されると、「移住しても都会と変わらない生活を送るのであれば移住しても同じこと。あえて不便なところがいいと思い、私は西都市を選びました。騒いでも誰にも言われないし、土地も安いので広い家にも住める。100パーセント受け入れてもらえるとは思わず、どんな人と出会えるかワクワクしながら、仲良くなれるように自分からトライしていくことが大事」と織田さん。
織田さんは、移住して農業をしようと決めてから1年以上かけて、サポートや補助金などについて入念に調べられたそうです。最終的に移住の候補地を2カ所に絞り、オンラインでの相談やお試し滞在を経て、移住先を西都市に決めたのには、2つの大きな理由がありました。
まず一つ目は、西都市の担当者だけが、農業でどれだけ稼げるかを品目ごとに示してくれたこと。「これだけ稼げると言ったからには最後まで面倒を見てくれるに違いない」と強く感じたそうです。「実際に農業をしてみて、稼げるかどうかは技術の問題だとわかりました。研修先の壹岐さんやJAの指導員、トレーニングセンターの仲間も惜しみなく技術を教えてくれ、大変感謝しています」と話されました。
二つ目は、都会の便利さはないけれど、普段の生活に困ることはないこと。商業施設や医療施設など生活に必要なものは身近に揃っているので、日常生活を送る上での不便さを感じることはないそうです。西都市は宮崎県の中央に位置しているので、休日に遊びや買い物に行くときの選択肢も多く、生活を楽しまれているご様子でした。
11時50分~12時40分
市内の小学校2校を外から見学。「校舎がきれいで運動場も広く、緑が多いですね」とおっしゃっていました。その後、JA西都が運営している農産物の直売所へ。旬の野菜や加工品が多く並んでいます。野菜の新鮮さと安さに驚かれていました。
13時
子どもたちを保育園にお迎え後、市役所まで戻り、Oさんご夫婦にお試し滞在の感想を伺いました。 「農業体験を通じて、西都市の魅力を肌で感じることができました。農業のイメージも以前よりは鮮明になりましたし、就農サポートが本当に充実しているなと感じました。西都市での生活はとても魅力的です。夫婦でしっかり話し合って、お互いが納得するように決めたいと思います」とおっしゃっていました。