2021年11月に開店するやいなや、本格的なカレー専門店として評判を呼んでいる「アポロンカレー」。オリジナルスパイスのみで作るお店の代名詞「アポロンチキンカレー」や、西都市などで採れた野菜をふんだんに使用した「彩り野菜のトマトキーマカレー」を筆頭に、「グリーンカレー」や「スパイシードライキーマカレー」、そして1ピースからオーダーできる「フライドチキン」まで、ジャンルをまたいだラインナップがメニューを彩ります。取材時にいただいた「二種のカレープレートランチ」は、副菜4種にサラダ、ドリンク、デザートが付いて1100円。真ん中のごはんが崩れたら混ぜて三種めとするのも楽しい、ランチタイム限定のセットです。
ジャンル横断型のカレー&カフェ
ふつうカレー屋といえば、南インド風やタイ風など、ベースとなるカレーのスタイルをひとつに絞るのが定石。ただでさえ奥深いカレーの世界で、さまざまなタイプを用意するということは、レシピ研究の範囲が広がり、オペレーションも複雑になることを意味します。「そういうカレー屋って、あまりないんですよね」と店主・河崎祐司さんが話します。
「だからこそ、そんなお店を作りたかったんです。すべての工程がそのカレーを作るためだけのもので、工程の途中からアレンジして別のカレーにはできません。あまりにも大変だったのでメニューの数を少し減らしましたが、最初はいわゆる日本っぽいカレーもありました。いずれはそれと、スパイスのみで作るカレー、そしてタイのペーストを使ったスープカレーの3種をレギュラーとして出したいと思っています。この3種類が揃っているお店は、宮崎県にはおそらくないはずなので」
種類の異なるさまざまなカレーが楽しめるお店を作る──。そんな理想を掲げて始まったアポロンカレーですが、店舗の運営ではまだまだ不慣れなことも多く、「はっきり言って、まともじゃない生活」が続いているそう。平日は8時から0時まで、ほとんど立ちっぱなしで調理や仕込みに追われ、休日もいつもと同じ時間に起きて買い出しや試作に奔走。研究熱心ゆえに、サイドメニューの開発にも余念がありません。そんな中で生まれた最近のヒット商品は、スパイシーキーマカレーを中に詰め込んだカレーパン。パンチの効いたスパイスと、罪悪感のない軽やかな口当たりが特徴です。こういったカレー以外のメニューも人気が高いため、いずれは商品化したいと考えている、といいます。「そのための時間がまだ全然取れていないんですけど」。
少しずつ出きてきたつながりを大切にしたい
お隣の佐土原町の出身で、西都市にはたまにご飯を食べに来る程度だったという河崎さん。西都市で店舗を構えるにあたって参考になったことのひとつが、創業を目指す方や創業して間もない方を対象にした「実践創業塾」でした。全8回の講座を通して、税金の仕組みや販促活動、SNSでの広報戦略にいたるまで、創業に関する様々な知識を学ぶことができるという、西都商工会議所主催のセミナーです。
「これがすごく面白かった。勉強になるのと同時に、自分と同じような事業者との輪ができたことも良かったなと思います。この塾で知り合った方とは、お互いのお店ができたときに顔を出し合ったりしていて。よく知る土地ではないので最初はどうなるかなと思いましたけど、近所のお店の方にも『この辺に飲食店ができるとまちの活性化に繋がるから嬉しい』と言ってもらえて、少しホッとしています」
最後に、開店から1ヶ月ほど(取材時)が経った現時点での西都市の印象を伺いました。 「西都市に通い始めてまだそんなに日が経ってないのですが、まちはのんびりと穏やかな雰囲気で、人は行動的だなと思います。子どもや学生さんだと、こんにちはー!って挨拶しますしね。こっちがびっくりするぐらい元気(笑)。ご年配の方も歩いて移動してらっしゃる方が多くて活発です。あと、24時間営業のスーパーがあったり、スパイスを豊富に揃える食料品店もあるんですよ。野菜は直売所があるし、業務用のお肉も売っていたりするので、だいたいはこの周辺で仕入られます。ハンバーガーの『LIFE LONG』さんや、イタリアンの『ジキル to ハイド』さんなど、ご近所さんとのつながりが徐々にできつつあるので、今後も末永く仲良くしてもらえたらって思っています」
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