FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

みんなをつなぐサードプレイス PROJECT

気軽に楽しいことをはじめられるまちへ。
「イザカヤ 楽」の居酒屋を越えた場所づくり

居酒屋&カフェオーナー 桐原正樹さん

11 Wed. August, 2021 KEYWORD
  • 起業・小商い
桐原 正樹

居酒屋&カフェオーナー 西都歴15年

居酒屋とカフェが一体になった「イザカヤ 楽(ガク)」店主。西都市で新たなチャレンジをしながら、まちの未来についていつも考えている。コミュニティや出会いの場となるような空間づくりがモットー。西都の名産であるカラーピーマンを使った商品開発など、多岐に渡るプロジェクトに関わっている。

  • 起業・小商い
11 Wed. August, 2021
はじめる人へのメッセージ

やりたいと思ったら、やったほうがいいですよ。「やらないともったいない」レベルじゃなくて、やったほうがいいです(笑)。

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 広大な古民家を改装した2階建てに、居酒屋とマッサージサロン、そして雑貨も販売するカフェが同居する。カフェはフリースペースとして貸し出したり、不定期に開催されるポップアップイベントもあって、夜にはバーという別の顔もある―。「イザカヤ楽(ガク)」の多彩な空間づくりは、西都市で暮らす人達が交流し、出会い、語らう、そんなサードプレイスのような機能も併せもっています。仕掛け人は、店主の桐原正樹さん。なぜ多数の事業を展開するのか尋ねると、そこには「年齢問わず、人と人が出会えるような場所をつくりたい」という思いがありました。

 「2階はずっと空いてたんですけど、もったいないなと思って、ほぼほぼDIYでカフェにしたんですよ。『カフェやれたら楽しそうだな』って、めっちゃ思いつき。そんな感じで同業の友達にこぼしたら『カフェをなめるなよ』って言われました(笑)。でも、勢いで作りましたね」

 魚料理と地元の食材を売りにした居酒屋としてスタートして、何度か移転したのちに現在の地に店を構えたのが約2年前。桐原さん持ち前のノリ――改め決断力で、宴会場だった2階を改装、昨年「GAKU NO CAFE」としてオープンしました。マッサージサロンは始めて間もなく「まだまだ実験段階」とのことですが、引退しようとした知人を見るにつけ、桐原さん自ら「能力がある人が辞めるのは絶対もったいないから」とスタッフに抜擢したそうです。

  「飲食店でも、飲食店だけやるのじゃ面白くない」というのが、最近の桐原さんのコンセプト。お客さんが楽しめて、参加できて、体験してもらえる。もちろん、料理も美味しい。そうした連動性のある空間を作っていくことで、いろんな人を巻き込んでいきたい。というのも、と桐原さんの語気が強くなります。

 「僕は西都市をもっと楽しくて元気なまちにしたいんです。そのためにはもっと出会えるような場所が必要で、うちのカフェには学生から社長まで、幅広い年齢層の人が来るんですよね。『何か始めたいけど、どうやったら良いか分からない』という人が、この場所で出会って動き始める、そんなことができたらいいかな。お金持ちだけど体力がないから投資したい人もいるかもしれないし、農家をやりたい、飲食をやりたいけどどうすれば……みたいな人だっているはずです。そういう気持ちをもった人たちがマッチングするような場所を作ることができたら最高ですね」

趣味でつながるからこそ居場所ができる

 桐原さんの奥さんは、子ども服やエプロンを手作りするハンドメイド作家としても活動しています。桐原さんが板前修行していた大阪時代に出会い、結婚を機に移住。知人のいない土地で不安もあったそうですが、そこで助けになったのが長年の趣味だったハンドメイドでした。現在はハンドメイド系のイベントやポップアップの企画を担当し、カフェスタッフとしても働いています。ちょうどこの日はインスタで知り合った、パン屋の『ココニパン』さんからお願いされていた、オーダーメイドのエプロンの試着と打ち合わせを行っていました。

 「ココニパンさんとはInstagramでフォローしあって知り合ったって感じなんですよ。うちのインスタを見て面白そうって思ってもらえたみたいで。今日持ってきたのは “大人割烹着” って呼んでいるのですが、エプロンとか作業着を、寸法やデザインからオリジナルで作っていて、それの試作品ですね」

 「楽しいことを考えるのが得意だから “楽”にしよう」と、これ以上ないほど直球で力強い由来をもつ、ガク。それだけに、楽しいことのためならどんどん門をひらいていくのがガク流です。ポップアップイベントは「ご自身で必要な備品さえ持ってきてもらえたら、あとはご自由にどうぞ」といったスタイル。加えて、1階のお客さんにも宣伝できるのが心強い!と好評を博し、出展した作家が作家を呼ぶ良い連鎖も生まれているそうです。とくに個人でものづくりに励む人にとっては、こうした空間があること自体が、まちの魅力の一つになるのではないでしょうか。

西都の未来のために、
楽しいことを仕掛けていく

 西都市の魅力はほかにもありますよ、と桐原さん。それは、料理人も唸るほどの美味しい食材に恵まれていることだといいます。

 「だって、お肉なら〈有田牧畜産業〉さんや〈都萬牛〉さん、あとはうちも使ってる〈妻地鶏〉さんとかもあるし、農業で言えば、日本で一番早く稲を刈る早期米があって、それもとてもおいしい。西都の人たち、みんなわかってる!?って心配になりますよ(笑)。僕が大阪からこっちに帰ってきたときとか、母親がキュウリの乱切りを置いていたので、なにげなく食べたら、めっちゃくちゃウマくて。聞くと『うちで育てているよ、そこで採ったやつ』って。ほんとにそういうことがよくあるんですよね」

 現在桐原さんは、西都市の魅力を発信するプロジェクトに複数関わっています。そのうちの一つが、カラーピーマンを市の特産品として全国にPRすること。実は、西都市はカラーピーマンの生産量が日本一なのですが、なかなかうまくPRできていません。コロナ禍で飲食店による消費量も減ったことから、市とJAから協力を依頼されたそうです。

 「カラーピーマンをアレンジして色んな商品を開発していこうってことで、僕の担当はカレーとパスタソース。古くからの友人のシェフと一緒にカラーピーマンでさまざまなアイデアを練って、全体的な消費量を上げるべく試行錯誤しています。せっかく良いものがある西都市なのに、なかなかPRがうまくいっていないのが現状。こうした課題を調理師という自分の力を使って、少しでも貢献できたらいいなと」

 一人ひとりが、もっと気軽にはじめられるまちへ。もっと色んな人を巻き込んで、楽しいことをやっていきたい―。そんな桐原さんの頭の中には、今もたくさんの企画がきっと浮かんでいるはず。次の一手が常に気になる、西都市の頼れる先輩です。