愛猫専用の部屋を備え、烏骨鶏や青い卵を産むアローカナ、さらには馬もゆったり過ごせるような大きな庭が広がる──。西都原古墳群のほど近くに建設中の谷さんの新居は、動物たちと生活するための理想が詰め込まれています。
大学時代から東京都や神奈川県などの都市部で暮らしてきた谷さん。そんな彼女が西都市に新居を建てるというのは、一見すると大胆な決断に感じられます。率直な疑問をぶつけると「でも、トータルで考えると家を買うのは効率的だったんです」ときっぱり。「仕事は在宅でできるので、今後の人生のほとんどの時間を家で過ごすことになるんだなぁって。全てをコスパで考えているわけじゃないですが、そうなってくると家を建てることは悪くない選択肢なんじゃないかなと思ったんです。都内では手に入りづらい広い敷地や、小さな頃からの夢だった馬も飼えるというのも大きかったですね」
友人との出会いから、ゲームの世界を形作るお仕事へ
職業はシナリオディレクターという、主にスマホ向けのゲームタイトルで、物語やキャラクター設計に携わるお仕事です。「ただ、昔からゲームが好きだったわけではなく、最初はまったく興味がなかったんですよ」と谷さん。その代わりにハマっていたのがミステリー小説で、小中学生のときには東野圭吾や伊坂幸太郎、湊かなえなどの作家を中心に愛読。しかし、大学生のときに知り合った友人がプレイしていたゲームがきっかけで、一気にその世界の虜になったといいます。「小説も好きですが、ゲームには演者がいることで声が加わり、さらにイラストによって視覚的な表現の幅も増える点がよかったのかなと」
「シナリオディレクター」という職種に興味を持ったのも、その友人がきっかけでした。インターン先でゲーム業界に触れた谷さんは新卒でゲーム会社に入社し、プランナーという立場からシュミレーションゲームなどに携わるようになります。どのようなキャラクターが愛されるのか、どんなイベントが発生すればユーザーにより楽しんでもらえるのか。数年をかけてゲーム設計のいろはを体得していきました。ものづくりを大切にする社風も肌に合った、と回想します。「ゲーム業界には普通の会社と少し違う、自由な空気があって。インターン先の社内にはバランスボールに乗って仕事をしている人がいたり、壁にボルダリングが設置されていたりしておもしろかったですね。シンプルにおもしろいものをつくろうとしている人たちがいました」
アクセスの良さから、よりアクティブに
西都市への移住というアイデアが浮かんだのは、フリーランスとして独立してからのこと。在宅勤務が増えるなか、新居の候補地を探し始めた谷さんは、都内の相場の高さを改めて実感することになります。「たまにしか出社する必要がないのに、わざわざ都内で探すのってどうなんだろうと。私はもっと動けるよなと思って、試しに3ヶ月ほど西都市の親戚の家に住んでみたんですね。そしたら、思ったよりも全然大丈夫で。それが大きかったです」
昔の記憶から、西都市の住み心地には期待していませんでしたが、いざ住んでみると以前よりもお店や人が増え、活気がある。市街地がコンパクトにまとまっていて日常の買い物が便利など、住むという視点で過ごしたことでまちを見直す機会となったといいます。また、大きな商業施設こそないものの、登山など自然のなかで楽しむアクティビティに向いた環境も気に入ったそうです。
「お試しで住んだときにはこっちにいる妹と一緒に、2週間に1回くらいのペースで山登りに行っていました。都内にいたときも奥多摩でラフティングをしたりと、けっこうアウトドア好きなんですけど、西都市だともっと気軽に行けるなって。尾鈴山の滝をめぐるコースや、双石山まで行ってみたり、楽しんでいます。黙々と登ることでリフレッシュになるんですよね」
常に複数の仕事を抱え、あの脚本の次の展開をどうするか、あのキャラクターはどうするかなど、忙しくなると頭の中が考え事でいっぱいになってしまうという谷さん。物語を生み出すという職業柄もあって、うまく頭を休めることができる環境が必要だったようです。「ここだと、庭の草むしりをしているだけでも頭を落ち着かせることができるんです。何も考えない作業が大事。西都原にコスモスや桜をすぐ見に行ける立地もいいなと思っています。これからの動物たちとの暮らしが楽しみですね」
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