FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

「好き」が育む新鮮キュウリPROJECT

原体験は、祖父母の育てた野菜。
吉田さんが “移住+就農” でキュウリ農家になるまで

キュウリ農家 吉田哲郎さん

12 Fri. November, 2021 KEYWORD
  • 農業
  • あそび・趣味
吉田哲郎さん

キュウリ農家 西都歴12年

夫婦でたくさんの新鮮なキュウリと6匹の愛猫を育てる農家。幼少期の体験から農家に憧れ、大阪から西都市に夢を叶えるべく移住。人一倍農業を愛し、より良い農法を日々研究している。

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12 Fri. November, 2021
西都市のおすすめスポット

都萬(つま)神社。コノハナサクヤ姫が祭神で、縁結びとしても有名です。

 「宮崎市内にいる祖父母が育てた採れたての野菜を食べさせてもらって、とてもおいしかった記憶があるんです。思い返してみると、それが原体験かもしれません。昔から自然と農業がしたいなって思っていました」

 そう語るのは、西都市穂北を拠点に、夫婦で6匹の猫とともにキュウリを育てる吉田哲郎さん。地元は大阪で、ご両親のお仕事も農業とは無関係。それなのに西都市で農業を始めることになったのは、幼少期に通った畑で採れた、トマトやキュウリの鮮やかな味が心に残っていたからなのだそうです。「大阪で働いていた頃から『いつか宮崎で農業をしたい』と常々口にしていました」。念願が叶って西都市に移り住んだのは12年前。ニラ農家である叔父さまに「農業を教えてほしい」と住み込みで手伝い、学びました。

 「そのお手伝いのあとは、『みやざき農業実践塾』というところに通いました。IターンやUターンで農業を始めたい人たちが、就農に必要な野菜栽培についての実践的な知識・技術を学ぶ学校のような場所、と言えばいいですかね。塾のハウスでキュウリやカラーピーマンを扱いながら1年間学び、その後は農業法人で3年ほど働きました。キュウリを選んだのは、労働力や環境を考えたときに1人でできる野菜がよかったのと、塾の同期が1人でキュウリを育てていたから。それに、宮崎県はキュウリの産地なので(他の野菜より)販売価格が少し高かったりもするんです」

生産者同士で知恵を共有する

 温暖な気候と長い日照時間という環境面での優位性に恵まれた西都市では、ピーマン、ニラ、キュウリ等の栽培が盛んで、いずれも国内トップクラスの生産量を誇ります。とくにキュウリの若手生産者の数は多く、情報交換も活発。自身も参加するキュウリの生産者のグループにはベテランから若手まで幅広い年齢層が在籍していて、困ったことがあれば相談しやすい環境にあるそうです。しかし、健康的な土壌と、日照や水はけなど、良い立地条件が求められる野菜づくりにおいては、実際に苗と土を触って育ててみなければわからないことが多いのも事実。未経験から農家になった吉田さんにとって、その土地に住む人たちの知恵が重要だった、と言います。

 「僕が西都市に来た当初は、『技術は人に教えないもので、飲んだときに聞くもの』という昔ながらの風習があったんですよ。今はコロナの影響もあって飲みに出かけることはあんまりないですけど、農家のみなさんはお酒が好きな人が多くて、よく連れていってもらっていました。飲みの場でしか聞けない話はたくさんあります」

 「世界的に見ると、ハウス栽培で最も有名なのはオランダ。オランダでは産学官連携のもと、気の合う仲間でグループを作って情報共有をする、という取り組みが行われていて、相乗効果によって生産性が伸びると言われています。最近はこの事例を参考に、生産者同士が集まって一緒に勉強する、というスタイルが増えています」

好きでやれば結果もついてくるはず

 西都市内の美容室に勤めていた奥さんと4年前に結婚してからは、毎日のように夫婦で畑仕事をしている吉田さん。「朝は必ず収穫しますし、休む暇なんてないですよ。でも僕はずっと仕事をしていても大丈夫なタイプなので」とは言うものの、たまに時間ができたときにはふたりで隣町の温泉やご飯やさんに行ったり、仲間とお庭でバーベキューをしたりと、プライベートや趣味の時間も充実しているようすです。 “西都市ならでは” の過ごし方を教えてくれるのも、やはり先輩や仲間だといいます。

 「先輩や仲間に色んなところに連れて行ってもらいます。ゴルフとか釣りとか、ちょっと遠くの美味いご飯やさんとか。いろんな遊びを教えてもらってきました。でも僕自身の趣味は40歳から始めるつもりなんですよ。それまでは農業に徹したいなって。そのときに一番やってみたいのは鮎釣りですね。鮎って、大阪に住んでいた頃は高級食材だと思っていたんですけど、こっちだとみなさん当たり前のように釣ってどんどん食べられるので、驚きました」

 仕事も趣味も、好きを大切にすること。それは、毎日をめいっぱい楽しむ吉田さんの、ちょっとしたモットーにも映ります。農家で居続ける秘訣を、こんなふうに教えてくれました。

 「農業は思い通りにはいかないことも多いですし、いろんな理論が確立されるいっぽうで、あっさりひっくり返りもする、答えのない世界です。最初は『一年中野菜を作る』くらいの覚悟が必要。だからどんなときでも、好きでやらないといけないですね。好きでやっていれば結果もついてくるし、どんどんハマっていきますよ」