FROM SAITO CITY MIYAZAKI

西都市で新しいことをはじめるためのヒントが、ここで見つかる!

地域と歩むまちのパン屋さんPROJECT

西都市で続く若手の創業。穂北の新店「ココニパン」は地元の活性化を目指す。

ココニパン店長 図師照八さん

9 Wed. March, 2022 KEYWORD
  • 起業・小商い
図師照八さん

ココニパン店長 西都歴15年

西都市出身。福岡で営業職にお勤め後、西都市でご両親の新聞販売店を手伝い、2020年よりご自身でパン屋を創業。『毎日食べられる、飽きないパン』をコンセプトに、地域に愛されるパンを日々製作している。

  • 起業・小商い
9 Wed. March, 2022
西都市で開業するために必要なことは?

地域の人たちと仲良くなること。まちのことを好きであればきっと応援してくれると思いますよ。

 家業だった新聞販売店の作業場を改装し、図師さん夫婦が2021年8月に開業したベーカリー「ココニパン」。一番の人気であるメロンパンやクロワッサンを筆頭に、揚げずにヘルシーに仕上げた焼きカレーパンや、シュトーレンなどの季節に合わせた限定品も展開しています。「まちに暮らす人たちに愛されるお店でありたい」。無添加にこだわる背景には、図師さんのそんな思いがあります。

空き店舗ツアーで知った補助金制度

 図師さんは、以前このマガジンにご登場いただいたカレー専門店「アポロンカレー」店主の河崎さんと同様に、「創業等支援事業補助金」を利用して創業した方のひとりです。制度を知るきっかけになったのは、西都市での創業をサポートする施設「まちづくり西都 KOKOKARA」が定期的に開催する空き店舗ツアーに参加したことでした。このツアーでは、不動産業者や市役所、商工会議所などの協力のもと、市内中心街の空き店舗の紹介はもちろん、創業にまつわるあらゆる相談を行うことができます。初めて事業を起こす図師さんにとって、こうした取り組みは心強かったのだそうです。

 「たしか、インスタで空き店舗ツアーをやっていると知って。市内で若手の方が運営するハンバーガー屋『LIFE LONG』さんの開業秘話も聞けるということで、興味を持ったんです。そこでこの支援制度についても教えてもらって。ちょうどこの制度が始まる年だったみたいで、いわば僕は一期生ですよね。ラッキーでした。その後は商工会議所の方に申請について詳しく教えてもらって。プレゼンはめちゃくちゃ緊張しましたけど、とても助かりました」 

おおらかで地元愛の強いまち

 西都市に生まれ育ち、家業の新聞販売店と牛乳販売店、そして独立後のベーカリーと、いずれもまちの人たちの生活に近いお仕事に関わってきた図師さん。「ずっと暮らしているから逆に分からないんですけど」と言いながらも、まちの空気をこんなふうに教えてくれました。

 「西都市は山も川もあって自然が近いからなのか、おおらかな人が多い気がします。それと、自分をしっかりもった、地元愛が強くて優しい人、というイメージですかね。開店してから2ヶ月くらい経った頃に、体調を崩してお店を休んだことがあって、その時にも知り合いの方が心配して様子を見に来てくれたりしたんですよ。新聞屋の頃は早く独立したい!と思っていましたが、当時僕が集金に伺っていた方が買いに来てくれたりもして。あぁ、新聞もやっていてよかったんだなぁと思うことができました。 “顔が見えていること” の良さですよね」

 「今はまだ店舗の運営で手一杯ではあるものの、軌道に乗った先にはやりたいことがたくさんあります」と図師さん。その一つが、西都市で採れた果物を使ったジャムパンや、ピーマンやニラなどの農産物で惣菜パンを開発することです。すでに「かぐらの里」のゆずジャムを使用したパンを作るなど実績はあり、こうした特産品を使って新しい楽しみ方を発信できる存在になるのが理想だそう。さらに、将来的には店内の空間を活用した参加型のイベントを企画するなど、穂北の活性化にも貢献していきたい、と話します。

 「僕の弟が東京でマッサージをやっているんですが、こっちに帰るか迷っているみたいで。今度帰ってきたときには、補助金のこととか、うちの祖母の自宅が空き家になっていることとか教えてみようかなって思っています。最近、穂北に新しいお店が増えているので、みんなで何かはじめられたら……って口実を作って飲みたいだけですけど(笑)。穂北に限らず、それこそかぐらの里さんのような形のコラボは今後もできると嬉しいです。LIFE LONGさんやアポロンカレーさんなど、今は西都市で開業する若い人たちが増えていますし、移住する方も増えていると聞きます。僕たちの世代で西都市を盛り上げて、次の世代へとつないでいきたいですね」